こんにちは ないしは こんばんは 臆病者のkatsuです。
今回は、「このマンガがすごい!2024」にてオンナ編で見事に第1位を受賞した『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』を紹介します!!
作品概要
作者:大白小蟹
出版社:リイド社
レーベル:トーチ
発刊数:全1巻
本作はなんと大白先生のデビュー作!
デビュー作にして1位受賞はすごいですね…
うみべのストーブ
青年・スミオは同棲していたえっちゃんにフラれて泣き暮らしていた。そんな彼を慰めたのはずっと側にいたストーブだった。ストーブはスミオを海へ行こうと誘う…。ストーブと海を眺めるスミオはえっちゃんとの出来事を思い出して失恋に向き合いながら、自身を見つめ直していく…。
雪子の夏
ある雪の夜、千夏(ちなつ)は雪女の雪子(ゆきこ)と出会う。雪子は雪女の存在を維持するため、人間を氷漬けにする義務を負っていた。しかし、実は本当はそんなことをしたくないと話す雪子に千夏は家出を提案する。
千夏の家で人間の暮らしに触れた雪子は、雪女としての自身の存在に関する不安と、夏祭りの花火への憧れを千夏に話す…。
雪子に親しみを覚えた千夏は彼女を夏祭りに誘い、雪子が溶けずに楽しめるように奮闘する…!
きみが透明になる前に
ある日、夫が不慮の事故で透明人間になってしまった。そんな事態に直面したものの、一見以前と変わらぬ普段通りの生活を送っていた夫妻だったが…。
生活の中で、夫が透明人間になってしまったのはショックだったが、一方で夫の不機嫌な顔を見なくてすむことにホッとしている自分に気付いてしまった妻。そして、透明になってしまった自身の存在について感じた恐怖と向き合う夫。それぞれのリアルな感情が描かれている。
雪を抱く
大雪で帰宅困難となった若葉(わかば)は同じように行き場に困った凰子(こうこ)と意気投合し、一緒に銭湯に行くことになった。
初対面ながら不思議な絆を感じる凰子とともに湯に浸かりながら、若葉は妊娠した自分の身体について感じていた悩みを打ち明ける…。
海の底から
学生時代は執筆活動に打ち込んでいたのに、就職してから書けなくなった桃。大学を卒業してからも執筆活動を続けていた友人が眩しく見え、憧れを感じていた。そんな友人たちからの無邪気な褒め言葉に少しイラ立ちを覚えつつも、何も書かない現状の生活に幸せを感じている自分に焦りを感じる…。
雪の街
大学時代の友人スーちゃんが突然死し、ショックを受けたはるかは葬儀の後に思い出のファミレスを訪れる。はるかはスーちゃんと親しかったという店員とともに雪の中を歩きながら故人の思い出を語り合う…。
たいせつなしごと
朝から夜遅くまでオフィスにこもりきって単調の仕事をこなす主人公は、日々の生活にどこか物足りなさを感じ、物欲も味覚も薄れてきていた。そんな彼女はある日、転職を決意する。彼女が選んだ新しいお仕事とは…!?
本作の魅力「ココがスゴイ!」
ストーブが突然話し出したり、雪女と暮らしてみたり、透明人間になったりと、ファンタジーながらもシュールな設定にありながら、なんともリアルな生活感が溢れており、絶妙に矛盾を自然に見せる描写がおかしく愛おしく、冷静に考えるとジワジワきます!
しかしながら、やわらかく温かい画のタッチとシュールな設定に油断していると、登場人物の複雑な心理描写や心の奥底をえぐられるような印象的なセリフがぶっ刺さります…。
ほのぼのとしながらも何かこれからの生活で大切なものがなんなのか気付かせてくれるような…そんな作品です!!
皆様、ぜひご一読ください…!
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